移動式製材機でサイドビジネス


移動式製材機で、シュバルツバルトの畜産林業農家が15年前からサイドビジネス。自宅の屋根付き作業場か、農家や土建屋や家具工房などの土場に製材機セットをトラクターとトラックで牽引して出張賃引き製材。料金は立米60ー65ユーロ+出張交通費。2人で1日15-20立米製材。年間3000立米くらい製材。フルに仕事すれば5000立米可能。人工乾燥が必要な場合は、乾燥機がある近くの製材工場に持って行く。
原木の輸送費が高いという状況を逆手に取って、製材機を原木があるところに移動させ、小さな需要にも応える。製材機2台と自動研磨機合わせて3000万円くらいの機械への初期投資はとっくに償却。当初、周りに嘲笑されたが、最大1.3mの大径木を4mmの板まで製材できる性能のいいバンドソーで確かなニッチ市場を確保。

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自分は製材屋というより肉屋!

バイエルン州アルゴイ地方のWaltenhofen製材工場の社長の言葉。
50km圏内から、45センチ以上の上質大径針葉樹5m材だけを仕入れ、肉を部位ごとに切り分けるように、大径木から、丁寧に、柾目の高級材を、モダンなレーザー技術の助けを借りて切り取る。
歩留まりは約60%。年間製材量6000立米。従業員は6名。
節のない高級材A++は、社長が「Filetヒレ肉」とラベリングし、卸売業者を通して主にヨーロッパで売られ、窓枠やオルガンや高級建具の部材として使われている。
「ヒレ肉(節なし)」や「上ロース(僅かに節あり)」にならない部位は、垂木や集成材の材料として加工され建築用に販売される。
大径木から、最大限の価値を切り取るこのような製材工場の存在が、持続可能な森づくりを支える。

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木材の地産地消のつなぎ役

オーストリアのブレゲンツの森地域、Hittisau村の製材工場。年間製材量1万2000立米。20キロ圏内からモミやトウヒの上質の大径A/Bを最大長20mで仕入れ、木造建築が盛んな地域の工務店や家具建具店に直売するこの地域の典型的な工場。
森と地域木材産業を繋ぐ重要なカギ。
以前はおさノコで、B/C材を製材し、売り先はイタリアなど外国に頼っていたが、10年前にイタリア製の高性能バンドソーを自動目立て機と一緒に購入し、高品質の材を求める地域の建築業者の需要に応える。現在、製品はほとんど地域販売。まさに地産地消。
歩留まりは70%。20%は家具建具用のA材、40%は建築B材、10%くらいがパレット材。残材は全て人口乾燥機の熱源に利用。
従業員は6名。

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次世代への配慮と備えの心が作り出した恒続森

中央ヨーロッパの山岳地域には、絶えず大径木が存在し、絶えず更新している恒続森の伝統を受け継ぐ地域が各地にあります。写真は、オーストリアのブレゲンツの森地域。
農林家や集落共同体が、次世代への配慮と家族愛の心で、適度な択伐を繰り返して作って維持してきた、多様で良質な大径材が生産される森です。
ウインチやタワーヤーダーの古き良き技術で丁寧に伐採集材作業されています。
昨年からのキクイムシの害による低質材の過剰供給で、建築用の針葉樹B/C材の価格が立米90ユーロから60ユーロに値下がりし、多くの森林所有者が困窮していますが、良質の広葉樹や大径針葉樹は、逆に値段が上がっており、多様で大径木のある森を育ててきた所有者は、大きなダメージは受けていません。
多様性はリスク分散です。
100年以上の生産期間がある森林業では大切なことです。

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