視察セミナー 「屋根+木」展 黒い森

2018年2月末に、「屋根+木展 & 黒い森」というタイトルで視察セミナーを開催しました。2年に一度の木造建築分野の一大イベント「屋根+木展」訪問と、黒い森地域での、木造建築ならびに森林視察という内容でした。

木造建築においては、今回、私が思い入れのある古建築の修復事例も見学しました。廃屋が、心地よく魅力的な村のコミュニティセンターに改修された事業や、大きな納屋が、レストランとホテルに生まれ変わった事例です。歴史や文化詰まった古いものには、ノスタルジーがあります。また、機能性や経済性が強く求められている現代建築にはないデザインと空間があります。

木工職人が通う職業学校も訪問しました。ドイツでは、デュアルシステムという伝統的な職人教育の仕組みがあり、職人の見習生は、地元の企業の親方(マイスター)と学校の先生の両方から、実践から理論まで、包括的な教育を受けます。

森林視察では、フライブルク市有林を散策しました。人口密度が高く、森の国土保全機能と保養機能が重要なドイツや日本のような国において奨められる「統合的な森林マネージメント」「多機能森林業」を体感してもらいました。

下記は、1人の参加者からのメーッセージです。

「今回は自分の視野を広げたいと思い参加させていただきましたが、高い満足度で目的を達成することができました。見学の中で個人的に最も興味深かったのは職業学校と理想的な森林の様子の2つです。今後の目標として、研鑽を積み多角的に思考できるようになるために、ツールとして技術を磨いていきたいと改めて思いました」

 

 

ドイツ視察セミナー Ligna国際木工林業機械展 & 黒い森  2019  5. 26 – 30

ドイツ/オーストリア 建築セミナー 「木」と「土」と「藁」の建築

ドイツ視察 森林業 + 木材

木造建築に追い風

ドイツの建築は、18世紀くらいから、石レンガ(近年はコンクリート)がメインですが、ここ20年ほど、木造建築の割合が増えています。現在、新築建築物の20%程度が木造建築です。しかし石レンガやコンクリートの建築においても、屋根や天井の梁は木が使われることが多く、建築における木材需要は高い水準が保たれています。

ここ数年、移民による人口の増加と経済の好調により、新築の戸数(世帯数)も増えています。リーマンショック時は、20万戸を下回っていましたが、ここ数年40万戸に迫る勢いで伸びています。その中で、木造建築は高い伸び率を示しています。それは、様々な技術革新で木造建築の可能性が広がったこと、工期が早いという利点、デザインのフレキシブルさ、持続的に供給できる資源であるということ、健康のイメージなど、様々な木のメリットが背景にあります。

最近は、木とコンクリートのハイブリットによる木造高層ビルも建てられています。南西ドイツのハイルブロン市には、10階建34mの木造高層マンションの建築が開始されています。また、2021年には、ハンブルク市で、それを上回る高層ビルが木造で建設される予定です。オーストリアの首都ウイーンでは、24階建、84mという世界最高の木造高層ビルが現在建設されています。

2月末に、ケルンの「屋根+木」展という、木造建築の分野での最大の国際見本市に、視察セミナーのプログラムの一環として行ってきました。4日間で、訪問客数4万5000人、業界関係者の交流の場、プレゼンテーションの場で、ものすごい賑わいでした。木造建築の追い風ムードが実感できる展示会でした。伝統的な大工の作業着を来た職人さんの姿もたくさんみられました。今回の主要テーマは、作業安全装備、設計のデジタル化(ドローンの活用など)、新しい屋根のマテリアルでした。木工大工の世界コンテストに出場するドイツナショナルチームの公開トレーニングもありました。

 

ドイツ視察セミナー モノづくり 木づくり 地域づくり 2019 3. 13 – 17 

ドイツ視察セミナー Ligna国際木工林業機械展 & 黒い森  2019  5. 26 – 30

ドイツ/オーストリア 建築セミナー 「木」と「土」と「藁」の建築

ドイツ視察セミナー モノづくり 手工業 職人養成 地域創生 

森の道

私が留学生として最初にドイツにやってきた20年以上前、自然が人に近い、特に森が近いと感じました。統計的には、ドイツは国土の3割が森林、日本は7割で、日本の方が遥かに多いですが、ドイツでは、人が「気軽」に「安心」して入って行けて、「快適」に「安全」に歩いたり、ジョギングしたり、サイクリングしたりできる森の道が整備されていることが、そういう気持ちを抱かせたのだと思います。貧乏な学生でしたので、移動は徒歩か自転車、よく近くの森を歩いたりサイクリングしたりしました。また、木陰や林縁の日向に座って本を読んだり、宿題をやったりしました。今でも、森は私の日常です。

木材を積んだ大型トラックが走れる砂利敷きの森林基幹道が、ほぼ全ての森林で、等高線に沿ってシステマティックに面的にあります。過去60年の間で整備されたものです。屋根型の路面、深い側溝と暗渠など、水のマネージメントもしっかりしてあり、雨が降ったあとでも、ぬかるまない、轍も水たまりのほとんどない道です。効率的な森林作業と木材運搬を主目的に作られた道ですが、市民や観光客とって快適な保養空間になっています。シュヴァルツヴァルトは年間宿泊数延400万泊の有名な観光保養地ですが、森林は欠かせない観光資源で、その基盤は、快適な森林保養を可能にする森林基幹道です。

シュヴァルツヴァルトの麓に佇む人口21万の環境首都フライブクルク市は、約5500ヘクタールの森林を市が所有していますが、年間の森林訪問者数は、延数で400万を超えます。森は市民の生活に欠かせない生活空間です。

雨量が多く、急傾斜が多く、地質も繊細で崩れやすい日本の森林でも、2010年以来、岐阜の高山市や北海道の鶴居村で、ドイツの森林基幹道をモデルに、質の高い水をしっかりマネージメントする道ができています。それは、森林作業と木材運搬の効率化だけでなく、一般の人々を森に誘い込むことにも寄与しています。道ができた森は間伐が進み、林内に光が差し明るくなり植生も豊かになります。快適に安全に歩ける道ができて、森も明るく多様性を増します。女性でも気軽に安心して犬と散歩できる場所、ホテルのオーナーが、お客さんを連れて自然観察会や写真撮影会を催せる場所です。

ドイツ視察セミナー 森林業 Forst live (林業機械展) 2019 3. 28 – 4. 1 

ドイツ視察セミナー Ligna国際木工林業機械展 & 黒い森  2019  5. 26 – 30

ドイツ視察 森林業 サステイナビリティの原点