下記は、ローリング・ストーンズやエリック・クラプトンなど有名な音楽家と一緒に仕事をしてきたキーボーディストのチャック・リーヴェルが、彼が情熱を傾けるもう一つ職業分野である森林について、名著「FOREVER GREEN」で書いている一節です。【森林業】にとって大切なことを音楽家の感性で簡潔に表現しています。
「私たちの森林。その維持のためには、繊細なハーモニーが必要だ。それは、すべての奏者が同じメロディーを奏でるなかで生まれる。わずかな人間だけでは、私たちの森を救い、維持し、保護することはできない。木の保全育成家、木こり、フォレスター、製材工場経営者、環境保護家、民間の土地所有者、ハンター、動物愛護家、教師、手工業家、関係する市民、森林生産物と林業に携わる企業、すべてのプレイヤーが一緒にならなければならない。この楽曲では、ソロはやってはいけない。それをやるには、森は傷つきやすく、リスクが大きすぎる。私たちみんなが、私たちの森について学び、高い責任感をもって木を利用するプログラムを支援する努力をしていかなければならない。そうすることによってはじめて、後続の世代に素晴らしい森を遺すことができる。個々の木々、個々の森林は、独自の歌曲をもっている。私たちは、それらのメロディにしっかり耳を傾けなければならない。それらに耳を傾けるなかで、様々な森の秘密と素性が開かれていくとき、私たちは、少しでも時間をとって、木の下に座り、上を眺め、感謝の気持ちを持つべきだ」
世界各国で、意地や誇りや欲やエゴ、偏見や狭い視野がベースになった「ソロ」演奏がされています。一方で、森に、地球に耳を傾け、多様な人たちと一つのメロディーを「共奏」することを呼びかけ、実践を試みる人たちもいます。私は後者であり続けたい、欧州の人たちが羨む日本の豊穣な森を後世の人たちに遺すことに貢献したい、と思っています。