9月末〜10月末のオンラインセミナー

MITエナジービジョン ウェビナー - 持続可能な社会の実現へ
【Vol.1 ドイツのエコタウンと気候中立のために必要なインフラ】
村上敦
2020年9月24日(木) 20-21:30 
https://mit-energy-vision-ecotown.peatix.com

MITエナジービジョン ウェビナー - 持続可能な社会の実現へ
【Vol.2ビオホテルから考える持続可能な観光業 – 100%オーガニック+カーボンニュートラルへ】
滝川薫
2020年9月29日(火) 20-21:30
https://mit-energy-vision-biohotel.peatix.com

MITエナジービジョン ウェビナー - 持続可能な社会の実現へ
【Vol.3 木質バイオマスエネルギーは持続可能なソリューションになるか?】
池田憲昭
2020年10月1日(木) 20-21:30
https://mit-energy-vision-holzenergie.peatix.com

集約版 ①森林業+②新森道+⑥森林浴+⑦共生】
2020年 10月5日(月) 20:00-22:00
https://sustainable-waldmix1005.peatix.com
2020年 10月17日(土) 16:00-18:00
https://sustainable-waldmix1017.peatix.com

【集約版 ③森林作業+④木材クラスター+⑤自然素材の建築】
2020年 10月13日(火) 20:00-22:00
https://sustainable-holzmix1013.peatix.com
2020年 10月25日(日) 17:00-19:00
https://sustainable-holzmix.peatix.com

【球磨川地域支援の特別企画 国土を守るグリーンインフラ「森林」と「土壌」】2020年 10月15日(木) 18:00-20:30
https://sustainable-kumagawa.peatix.com


【森の幼稚園からBeyond コロナ】
2020年 10月19日(月) 20:00-22:00
https://sustainable-waldkinder-corona.peatix.com

オンラインセミナー「サステイナブルは気くばり」2020年9月ラインナップ

グリーンインフラ、Beyond コロナ、ユネスコ文化遺産とSDGs、農業、手工業、エネルギー、エコタウン、ビオホテルと新しいテーマも加え、9月のオンラインセミナーをラインナップしました。

ドイツ/スイスで同様の活動をする同僚の村上敦(9月24日「エコタウン」)と滝川薫(9月29日「ビオホテル」)との共同企画もあります。

興味がある方、プロ、アマ関係なく、お気軽にご参加ください。

2020年 9月5日(土)20:00-22:00
サステイナブルは気くばり - 森から建物まで
集約版 ⑩+⑪ 国土を守るグリーンインフラ「森林」と「土壌」
https://sustainable-greeninfra-wald-boden2.peatix.com

2020年 9月11日(金) 20:00-21:30
With コロナの世界からBeyond コロナの世界を眺望する
https://sustainable-withcorona-beyondcorona.peatix.com

2020年 9月15日(火) 20:00-21:30
ユネスコ無形文化遺産とSDGs Vol.1「三段酪農によるチーズ作り」
https://sustainable-unesco-dreistufenlandwirtschaft.peatix.…

2020年 9月16日(水) 20:00-21:30
ユネスコ無形文化遺産とSDGs Vol.2「オルガン製作」
https://sustainable-unesco-orgelbau.peatix.com

2020年 9月17日(木) 20:00-21:30
ユネスコ無形文化遺産とSDGs Vol.3「共同組合」
https://sustainable-unesco-genossenschaft.peatix.com

2020年9月24日(木)20:00-21:30  村上敦
MITエナジービジョン - 持続可能な社会の実現へ
Vol.1 ドイツのエコタウンと気候中立のために必要なインフラ
https://mit-energy-vision-ecotown.peatix.com

2020年9月29日(火)20:00-21:30  滝川薫
MITエナジービジョン - 持続可能な社会の実現へ
Vol.2ビオホテルから考える持続可能な観光業 – 100%オーガニック+カーボンニュートラルへ
https://mit-energy-vision-biohotel.peatix.com

2020年10月1日(木)20:00-21:30  池田憲昭
MITエナジービジョン - 持続可能な社会の実現へ
Vol.3 木質バイオマスエネルギーは持続可能なソリューションになるか?
https://mit-energy-vision-holzenergie.peatix.com

ドイツで大豆の栽培と品種改良

ドイツでの豆腐製造のための大豆の栽培、品種改良について記事を書きました。
フライブルクで30年以上BIOの豆腐を製造している豆腐のパイオニア企業Taifun社の、農家や大学と共同する画期的な取り組みです。世界の大豆栽培の8割が遺伝子組み換え、同じく8割の大豆が、豆腐の5倍も効率が悪い肉の生産に使用され、南米の貴重な熱帯雨林などが焼かれている問題に対する、1企業の奇抜で画期的な取り組み、持続可能な社会の構築に向けた行動を紹介しています。

記事はこちらから
http://econavi.eic.or.jp/ecorepo/learn/585

オンラインセミナーを開始します

これまで、現地の視察セミナーや講演会、ワークショップにて「直接対面」にて限られた方々に提供していたものを、ウェビナーにより「デジタル対面」にて、より多くの方々に安価に提供します。

通信環境の良い場所で、パソコンやタブレット、スマホで、気軽に会社や自宅や外出先からアクセスください。

ZOOMのウェビナーのシステムを使います。基本的に、視聴参加者のお名前は、他の視聴参加者の画面には表示されません

参加のお申込み&お支払いのマネージメントにはPeatixを使用します。お申し込み後に、Zoomの参加者事前登録URLを送ります。登録が終了すると、オンラインセミナーへの参加リンクが記載されたメッセージが自動送信されます。各セミナーは開始20分前に開場します。

別の参加&申し込み方法をご希望の方は、事前に個別にお問い合わせください。メールはこちらへ

下記は、公募型オープンセミナーの案内です。

テーマに関心をお持ちの方でしたら、一般の方からプロまで、どなたでもお気軽にご参加ください。動画写真ホワイトボードも効果的に使い、素人の方でも容易に理解・イメージできるように話します。レクチャーの後には、口頭による質疑応答の時間を設けます。聴講参加者のみなさまには、セミナー終了後にスライドのハンドアウトを配布します。ご質問、ご不明な点がございましたら、遠慮なくご連絡ください。メールはこちらへ

団体、企業などでご要望がありましたら、オーダーメイドにて、クローズなセミナーの開催にも応じます。ご希望内容、期日など、お気軽にお問い合わせください。メールはこちらへ

サステイナブルは気配り ー 森から建物まで  1)〜7)

 

1)持続可能な多様性! ー 多方面へ「気配り」する森林業

レクチャー 50分  質疑応答 30-40分  参加費:1000円/人

  • 「持続可能性」という概念は、ドイツの森林業の世界で約300年前に生まれた
  • 次世代への配慮と思いやりの心が、多方面への「気配り」のある森づくりを生む
  • 森林業とは? ー 「自然と共に」「循環の思想」「多機能性」
  • 土壌を守り育てる! ー 森林業のもっとも重要な資産
  • 欧州のフォーレスターが羨む森林大国日本の大きなポテンシャル
  • 「ソロ」ではなく「協奏」! ー ドイツやスイス、日本の実証事例とパイオニア

お申込みは、日時をご確認の上、下記のリンクをクリックください。Peatixの画面に移動します。

2020年 5月14日(木) 17:00-18:30   
2020年 5月16日(土)  16:00-17:30
2020年 5月26日(火) 20:00-21:30 

2) 森づくりは道づくり ー 持続可能で多機能な森林業を可能にする道インフラ

レクチャー 50分  質疑応答 30-40分  参加費:1000円/人

  • 自然に「気配り」した質の高い道のインフラが、生産性の高い持続可能な森林業を支える
  • いい道のインフラは、森林作業の安全性を向上させ、人の命を救う!
  • 多雨、急傾斜、複雑な地形、崩れやすい土質の日本の森林でも可能!
  • 「水」とどう付き合うか ー 集めない、加速させない、停滞させない、という3原則
  • グリーンインフラになる道づくりのディテール
  • 美しい森林道は、観光業と市民のレジャー・健康を支える!

お申込みは、日時をご確認の上、下記のリンクをクリックください。Peatixの画面に移動します。

2020年 5月19日(火) 17:00-18:30 
2020年 5月23日(土)  16:00-17:30
2020年 5月28日(木) 20:00-21:30 

3)人も森も守る! ー 森林作業の安全と土壌を保護する作業

レクチャー 50分  質疑応答 30-40分  参加費:1000円/人

  • 危険な仕事「森林作業」に必要な心構え ー 「敬意」「気配り」「謙遜」
  • マイスター(先生)が現場で徒弟(生徒)に教えることの大切さ
  • 防護装備 ー 鎧とスポーツウェアーのバランス
  • 人命救助が出来る道を起点に作業を考える
  • 土壌を保護する森づくりと作業システム

お申込みは、日時をご確認の上、下記のリンクをクリックください。Peatixの画面に移動します。

2020年 5月20日(水) 19:00-20:30 
2020年 5月24日(日)   15:00-16:30

4)木材の多様な地産地消 ー 多様性のある地域木材産業が地域を国を豊かにする

レクチャー 50分  質疑応答 30-40分  参加費:1000円/人

  • 木は「多様」、だから多方面への「気配り」がある多様な木材産業が必要!
  • 森林・木材クラスターは、地域経済を支える大きな柱!
  • 製材工場 ー 「気配り」力が問われる森と木材産業のつなぎ役!
  • 地域を国を豊かにする理想的な木材のロジスティック
  • 家づくり ー地域の零細企業が支える品質とイノベーション
  • 手工業のルネッサンス ー 家具、建具、木工細工
  • 木質バイオマスエネルギーはソリューションになるか?

お申込みは、日時をご確認の上、下記のリンクをクリックください。Peatixの画面に移動します。

2020年 5月27日(水) 17:00-18:30 
2020年 5月30日(土)   16:00-17:30 

5) サステイナブルな家づくり ー 自然素材を活かしたシンプルな健康省エネ建築

レクチャー 50分  質疑応答 30-40分  参加費:1000円/人

  • 木や土や石といった伝統的な自然素材の優れた性能
  • 「調熱」: 熱エネルギーを吸収し放出する自然素材
  • 「調湿」: 湿気を吸収し放出する自然素材
  • 自然素材と衛生 ー 防菌効果
  • 古建築を、安価に、エコに、アップビルディング!
  • シンプル イズ ベスト! ー 自然素材で、暖房も機械換気もいらない年中快適な家

お申込みは、日時をご確認の上、下記のリンクをクリックください。Peatixの画面に移動します。

2020年 6月2日(火) 17:00-18:30
2020年 6月4日(木) 20:00-21:30 
2020年 6月6日(土) 16:00-17:30 

6)森林浴 Waldbaden

レクチャー 50分  質疑応答 30-40分  参加費:1000円/人

  • 「森林浴」:日本生まれの言葉がドイツでトレンド
  • 森林業をするための美しく安全な道があるから、市民が気軽に日常的な森林浴
  • 気軽にアクセス可能な「気配り」の森林が、地域の大きな観光資源! ー 「黒い森」の事例
  • 世界からみた日本の森林の大きなポテンシャル
  • ハイブリット自転車で高齢者が森林で快適サイクリング
  • 森林で乗馬、ヨガ、狩猟
  • 「森の幼稚園」 ー 森林は絶好の学びの場

お申込みは、日時をご確認の上、下記のリンクをクリックください。Peatixの画面に移動します。

2020年 6月9日(火) 17:00-18:30 
2020年 6月11日(木) 20:00-21:30
2020年 6月13日(土) 16:00-17:30 

7)人間が森から学ぶべき共生の原則

レクチャー 50分  質疑応答 30-40分  参加費:1000円/人

  • 人間の2000倍長く存続し、人間の7000倍の質量を有する木の賢い生存コンセプト
  • Wood Wide Web
  • 木と他の生物による同じ目線のパートナーシップ
  • 植物が実践する迅速で誠実でオープンなコミュニケーション
  • 木は、次世代や弱者の仲間への配慮をしている
  • 環境に変化に対応し、みんなで一緒に行動する

お申込みは、日時をご確認の上、下記のリンクをクリックください。Peatixの画面に移動します。

2020年 5月22日(金) 19:00-20:30 
2020年 6月10日(水) 17:00-18:30
2020年 6月14日(日) 16:00-17:30

美しさの背景にあるもの

中央ヨーロッパの田舎の美しい景観。住んで25年、見慣れている景色ですが、いつ見ても新鮮で、ため息混じりに見とれてしまいます。特に花と新緑、生命の躍動が感じられる今の時期は。
この景色は、文化景観(カルチャーランドスケープ)と呼ばれ、人々の自然への働きかけ、営みがあってはじめて維持されます。副業や趣味が主体の農業や森林業、この景観を一つの資本とする観光業、個性豊かで質が高い家族経営の商店、地域の生活の需要と品質を支えるレベルの高い様々な手工業、グローバルに活躍しつつも地域の雇用と人材育成を大切にする中小企業、各種芸術家、行政、教育関係者、地域の各種NPO団体、そして人々の健康を支える医療。これら多様なプレイヤーが有機的に密接に繋がり補完し合うことで、地域が、この美しい景色が維持されています。
今回のコロナ危機は、この一見のどかで平和に見えるこの地域にも、大きなダメージを与えるでしょう。しかし、リーマンショックやその他の過去の危機を克服してきたように、「複合的な多様性」という危機への強さをもって、地域で助け合い、粘り強く、クリエイティブに乗り越え発展して行くでしょう。
ロックダウンから1ヶ月、軒先や散歩の途中やスーパーでの買い物のときに出会う近所の人や知人、友人、経営者、職人、会社員などと、2m以上の感染防止距離を置いて立ち話。話題の中心は自ずとコロナ。「今大変だけど、みんなで耐えて乗り切ろう」「新しい商売の方法を考えなきゃ」「健康が一番、気をつけて」と励まし、刺激しあっています。
私も、少なくともこれから数ヶ月は、この地域の美しい景色や持続可能なコンセプトや事例など、直接日本のお客さんに生で見せて体験してもらう視察セミナーはできませんが、インターネットの助けを借りてオンラインでのレクチャーやセミナーを提供し、あとはこの機会に執筆や、次の展開のための充電と構想の時間に当てたいと思っています。

大径木に敬意を払ってスロービジネス

オーストリアのリンツ近郊のハンガー製材工場を先月仕事で訪問しました、アルプス山脈の手前の緩やかな小高い丘陵地帯、牧草地と混交森がモザイク状に連なる美しい牧歌的な景観のなかに佇むサンクト・ウルリッヒという小さな村の中にあります。敷地には、直径1m前後の大きな広葉樹の丸太が積み上げられ、屋根付き倉庫群には、製材された板や角材が高く積み上げられています。

ハンガー社は、中央ヨーロッパにたくさんある典型的な家族経営の製材工場。現社長は5 代目。良質の広葉樹に特化した工場で、従業員は20名。社長婦人が経理と事務担当、70代の前社長も仕事を手伝っています。家族の強い絆と田舎の純朴な働きものの従業員によって運営されています。

年間約1万立米必要な原木は、秋から冬の期間、目利きのできる社長と現役を引退したお父さんの2人が、周辺地域だけでなく、ドイツ、フランス、チェコ、ハンガリー、ルーマニア、スロベニア、クロアチアなどに車ででかけて、現地で直接買い付けし、トラックを手配して工場に運びます。オークやトネリコ、くるみや桜、ブナなど約10樹種の原木丸太を、一本一本製材担当者が見定めて、約40種類の製品に切り取っていきます。それを、品質を重視して、1から3年天然乾燥し、最後の仕上げに人口乾燥機にかけて相対湿度8%くらいにし販売します。なので、板や角材の在庫が2万立米ほどあります。

「森で200年、300年と長い時間をかけて成長した大きな樹木に敬意を払って、我々は、その価値を最大限いかす製品を、ゆっくり丁寧に時間をかけて作っている」

と社長は話してくれました。

製造販売する商品はほとんどが、家具や建具、フローリング、窓枠などに使用される高級材で、お客さんは、ヨーロッパを中心に20数カ国、大きな工場から小さな工房、輸出商社と様々で、小さな家具工房のオーナーが、直接やってきて、積まれた板を見て、「このブロックが欲しい」と言って買っていくこともあります。私が訪問したときも、そのようなお客さんが訪問してきていて、奥さんが対応していました。

社長は「ビジネス関係の構築も、木と同じように、ゆっくりと時間をかけてやっている」と話してくれました。ハンガー社は、原木の仕入れ先(森林所有者や事業体)とも、販売先のたくさんの業者とも、信頼関係をベースにした長期的な付き合いを心がけています。

自然にも人にも敬意を払い、価値の高いものを、丁寧に、多品目生産するこのような家族経営の工場の存在が、数世代に渡って、生態的にも豊かな立派な森をつくり維持発展させている森林経営を、何世代も使われる質の高い家具や建具の生産を支えています。

岩手中小企業家同友会の会報「DOYU IWATE」2019年12月号に掲載

家族企業 

ドイツは、経済活動において、伝統的に「家族企業(Familienunternehmen)」の占める割合が高い国です。ドイツの全企業の約9割が家族企業であり、総雇用数の約5割、全企業の総売上げの約5割を占めています。

「家族企業」とは、会社の所有権の過半数以上が、数名の自然人に属している会社です。民法上の個人会社(Personengesellschaft)の場合は、所有者(オーナー)が6名まで、法人各の株式会社(AG)や有限会社(GmbH)などの場合は、最大3人までのオーナーが過半数の所有権を有している、という定義になっています。(ドイツ家族企業基金より)。

家族企業は、経済を安定させる作用があります。とりわけ経済が厳しい状況の際に。世界金融危機、ユーロ危機が起こった2006年から2014年までの間、ドイツの雇用規模でトップ500の家族企業は、雇用を19%増やしています。一方、DAX上場していて、家族企業に属さない企業は、2%しか雇用を伸ばしていません。この違いは、家族企業のオーナーが、自分の資産を、子供の世代へ、孫の世代へと長期的な視点で投資し、経営しているからです。

また、上場している大企業の多くが都市部に集中して立地しているのに対して、家族企業の多くは、地域に根付いています。私が住むシュヴァルツヴァルト地域にも、世界企業として活躍している家族企業がたくさんあり、地域の経済と豊かさを支えています。

働き手からも家族企業は高く評価されています。ミュンヘン工科大学が、大学卒業者に行った調査によると、多数の株主に分散所有されている大企業と家族企業を比較して、14項目のうち9項目で、家族企業が高く評価されています。とりわけ「職場環境とチーム精神」「自立した仕事」「階級構造の平坦さ」という項目で圧倒的にポジティブな評価がされています。魅力的な都市部の大企業だけでなく、田舎の地域の家族企業に優秀な人材が流れている理由です。

会社のリスクと責任と経営を、数名の自然人が担う家族企業は、国民からも高く「信頼」されています。ドイツ社会調査の大手forsaが行ったアンケート調査によると、88%のドイツ人が家族企業を信頼しています。ドイツ政府への信頼度30%、多数の株主に分散所有されている国際的な大企業への信頼度15%と比較して、はるかに高い数字です。

岩手中小企業家同友会会報 「DOYU IWATE」連載コラム 2019年2月号より

 

ドイツの職人養成 デュアルシステム ④マイスターは現場の教師

中世のツンフト(同業者の組合)が取り仕切っていた手工業職人の養成においては、マイスター(親方)が唯一の教師であった。徒弟は、マイスターと一緒に仕事をしながら、職人試験に必要とされる技能を学んでいた。それだけでない。徒弟の多くは、修行期間中、マイスターの家族の一員として、寝食を共にしていた。マイスターは、仕事でもプライベートでも、徒弟の師匠であった。

今日においては、企業と学校が二元的に見習生(徒弟)を養成するデュアルシステムがあるが、企業で、「現場の教師」として実践的な職人養成を担当するマイスターは、依然としてドイツの職人養成の中核的な存在である。手工業会議所と国が定める職種別の「職業養成規則」に書かれている養成プランに応じて、普段の仕事のなかで、見習生に適切に課題を与え、個々人の特性と性格を見極め、的確にサポートし、見習生が自己学習能力と問題解決能力を身につけるよう促していく。相手は大半が17歳前後の難しい年頃の若者である。教育者としての資質とノウハウが必要とされる。

1800時間のマイスター養成コース

マイスターになるには、ゲツェレ(職人)の資格を取得したあと、最低2年間の職業経験を積んだのち、手工業会議所や国(州)が開催するマイスター養成コースに通い、国家試験を受け合格しなければならない。マイスターコースは、1年から1年半の集中コースや、週末メインの数年に渡るコースなどあるが、授業(講義・実習)時間は、木大工マイスターコースで合計1800時間。技術の理論と実技から経営学、組織マネージメントまで、最高峰の技術者、経営者になるための養成を受けるが、教育者としての知識とノウハウを身につける授業も120時間(5〜6週間)、しっかりと組み込まれている。

マイスター称号は誇りであり、会社の品質表示

「マイスターは空から落ちてくるものではない」という言葉があるが、素質がある優秀な職人が、相当な勉強とトレーニングをし、取得するものである。マイスターは、職人の最高資格者、経営者、教育者として、ドイツの社会では、今日でも高く評価されている。どこの会社でも、経営者や幹部職員が取得した「マイスター証書」が、目立つ場所に誇らしげに掲げてある。会社とその商品、サービスのクオリティを保証し、顧客に信頼感を与えるものであるから。

私は、日本からの視察団とドイツの会社を訪問する機会が多いが、ドイツの経営者が「私の会社には、従業員20人のうち、マイスターが3人いて、見習生が6人います」といった会社紹介をすることがよくある。それは「自分の会社の技術と経営レベルは高く、同時に若い世代の育成もしっかり行なっている健全な会社です」ということを暗に伝えている。

ドイツ政府はマイスター復権で手工業職人の増加を目指す

ドイツの手工業職は130以上あり、そのうち、会社を設立する際にマイスター称号を所有していることが法律で義務付けられている職業が41職種ある。消費者保護と安全の観点からそうされている。木大工職やパン職人などがそれに属する。2003年以前は94職種あったが、EUが目指す自由競争と価格安の政策により、当時のドイツ政府は、53職種をマイスター義務から外した。それによって建設業では、規制緩和されたタイル貼り職や内装職で、マイスター称号なしで独立する事業者が増加した。一方で、それらの職種で「仕事の品質が低下した」「見習生を受け入れられる会社が少なくなった」という意見を手工業業界からよく聞く。

ここ10年あまりで手工業職の人手不足が続いている。ドイツ政府は昨年から、一度マイスター義務を緩和した職種のいくつかを、もう一度義務化し、手工業職の知名度と品質を向上させ、見習生を増加させることを目指す政策提言している。「再び規制をかけることは経済に逆効果」という経済界の声もあるが、高い品質と人材養成を重視するドイツ手工業連盟(ZDH)は、これを歓迎している。

ドイツの職人養成 デュアルシステム ③放浪の旅

「聡明な人は、旅を通して最高の自己形成をする」

ドイツの有名な作家ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの言葉である。

ドイツの手工業職人の世界には、中世のころから続いている伝統的な風習がある。「Walz(ヴァルツ)」と呼ばれる「放浪の旅」である。職人は、ゲーテの言葉どおり、旅を通して自分の腕と心を磨く。

旅職人の伝統と規則

旅をするのは、3年間の職業養成を終了し、ゲツェル(職人)の称号を取得したものである。中世のツンフト(=同業者の組合)制度では、放浪の旅は、マイスターの試験を受けるための義務であった。現在では、放浪の旅は、職人の自由意志に基づくものであるが、主に大工や建具職人など建設業関係の職人たちが、昔からの伝統を継続している。

職人の放浪の旅には昔から、前提条件と規則がある。ゲツェルの称号を持った職人で30歳以下、未婚であること。負債や前科を持っていないこと。旅の期間は通常3年間と1日、その期間中、基本的に故郷の50km圏内に戻ってきてはいけない。移動は基本的に徒歩とヒッチハイクで、公共交通の利用は禁止ではないが、好ましくない。遠い外国に行く際の飛行機の利用は許可されている。旅の最中は、職種別にある伝統的な作業着を身につけていなければならない。大工の場合は、黒い帽子、襟のない白いシャツに黒のコードジャケットとズボン。木製の杖を持ち、それに「シャルロッテンブルガー」という身の回り品が入った巾着袋を結びつける。一般の人が、一眼で「旅職人」と認識できる装いでなければならない。というのは、彼らの移動や寝泊まりは、旅先の他人の好意に頼ることになるからである。見ず知らずの人に安心感を抱かせなければならない。「誠実」であることは、旅職人の世界では、放浪の旅という伝統を継続するための大切なことであり、そのために、負債や前科がないという前提条件を満たした職人が、伝統的な衣装を身につけ、誠実な振る舞いに心がける。放浪の旅をする職人は、通常「シャフト」と呼ばれる同友会のメンバーになる。複数の同友会があり、それぞれで、細かなルールやしきたりがある。旅をするのは伝統的には男の職人だけであったが、戦後は、女性の旅職人も許可をするシャフトもできた。

ユネスコ無形文化財に登録された「放浪の旅」

旅職人は、見しらぬ場所に行って、建設現場などに飛び込み、仕事がないか問い合わせる。または、シャフトのネットワークで、仕事を探していく。基本無償で労働を提供し、そのかわり雇い主に住まいと食事を提供してもらう(最近は報酬をもらって働く場合が多くなっている)。1箇所にどれだけいるかは、その現場の仕事量や本人の意思次第。放浪の旅の意義は、自分の生まれ故郷とは風土も文化も違う場所で、異なる技術や仕事の仕方、考え方を学んで自分の技能を高めること、そして苦労をしながら冒険的な旅をすることによって人間性を養うことである。ツンフト(=同業者の組合)で、マイスター試験を受けるための前提として放浪の旅を義務付けていた中世の時代は、親方(マイスター)が、自分の将来の競合を自分のエリアの外に追い出す、という意味合いもあったようだ。

ドイツにおける職人の放浪の旅(ヴァルツ)は、2015年、ユネスコの無形文化財に登録された。現在でも、大工を中心に、推定600人くらいの職人が、旅をして腕と心を磨いている。日本の宮大工のもとに修行にくるドイツの大工職人もいるようだ。旅をした職人は、雇い主からの評価が高い。好んで雇用される傾向がある。苦労と冒険の旅をして、知識と技術と人間性が豊かになっているので。特に地域密着で営業をしている小さな工務店では、顧客とのコミュニケーション能力、信頼関係は、大切なベースであるから。

ドイツの職人養成 デュアルシステム ②木大工職人の養成

「木」の職業は人気

「今の若者の多くが、体を使う、汚れる仕事でなく、机に座ってやる仕事に就きたいと希望している」とシュヴァルツヴァルトの職業学校で木材工学を教える私の友人のシュラッター先生はいつも残念そうに話す。ドイツでは、長い間大学進学率が30%前後であったが、10年くらい前から急に上昇し、2011年以来、50%を超える数字で推移している。石大工や金属加工、左官の職の見習生の数は、ここ数年減少の一途を辿っているようだが、木大工や建具職人など、「木」に関わる職業の見習い生は、一定のレベルを保っており、手工業職の中でも人気があるようだ。

ドイツ木大工マイスター連盟の統計によると、木大工の見習い生の数は、2013年の6903人から2017年には7280人と、毎年2%前後の上昇傾向にある。雑誌や新聞などのインタビュー記事によると、「木が好きだから」「小さいころから木工が趣味で」といった、木というマテリアルに対する愛着によって、多くの見習い生がこの職業を選んでいるようだ。

自ら仕事を計画し、実行し、検査できる職人を養成

ドイツでは、早くて16歳から職業見習いとして手工業職の養成コースに進むことができる。期間は通常3年間、見習生は、自分が就きたい職業分野の企業を自ら見つけ、見習い(徒弟)契約を結び、それをもって職業学校に入学手続きをする。職業養成は、時間的には企業での実践的な訓練が6〜7割、残りが学校という配分になる(=デュアル職業養成システム)。見習い生といっても、実際に企業で労働を提供するので、一定の給料も支給される。木大工の場合は現在、1年目で平均月給が650ユーロ、2年目で900ユーロ前後、3年目になると1200ユーロ前後が相場である。

養成の枠組みと内容は、手工業職の場合、手工業会議所と国が定める職種別の「職業養成規則」に基づいている。この規則の第三条に、職業養成の「目的」が記されているが、そこで「とりわけ重要」だと明記されているのが、「自ら仕事を計画し、実行し、検査する」ことができる人材を養成することである。これは、ドイツの教育全般に共通することで、これができる「自立」した人材がブルーカラーでもホワイトカラーでも養成されていることが、ドイツの企業の高い問題解決能力、応用力、イノベーション力、労働生産性を根底で支えている。計画・実践・検査の能力は、同じ現場がひとつもない、全て個別事情の仕事をする木大工職人には、とりわけ重要なものである。

職人(ゲツェレ)になるための包括的な卒業試験

「職業養成規則」には、職業別に3年間の養成枠組みプランが書かれている。そこには、複数のテーマ(項目)があり、項目ごとに、具体的な習得内容の箇条書があり、何年目で、どのテーマにどれだけの時間を費やす、ということが具体的に明記されている。例えば、木大工の職では、最初の1年目で「雇用契約」「会社組織」「作業安全」「環境保全」「受注から計画、実践」「作業現場の準備」「資材の確保と保管」「設計図面の解釈とスケッチ」「測量」「木材加工」「断熱材の施工」「ファザード施工」など基本的な知識と技術を学び、2年目になると、「受注、仕事量の推定とプラン、工程表の作成」「資材の選択と準備保管」「基礎地盤の確認、検査」「品質管理のための作業日報の作成」といったものが加わる。3年目になると「基礎工事と外壁施工」「木材加工機械の操作とメンテナンス」「既存の構造材の維持メンテナンス」が加わり、それまで学んだことの復習と補強が行われる。

1年半目で中間試験、そして3年目の終わりに卒業試験がある。卒業試験は、8時間の実技試験と、「木構造」「建築資材」「経済・社会」の3分野の筆記試験(それぞれ60〜180分)から成り立っている。実技では、受験者は、屋根の構造材や階段の模型作成の課題が与えられ、その課題内容に応じて、自ら設計し、工程計画を立て、完成品の検査を行う。そのなかで、労働安全や作業者の健康、環境保護の側面も考慮しなければならない。組手や加工の機能性と精度など技術的側面から、労働法や環境規制を踏まえた上での複合的な仕事の計画・遂行・検査能力が試験される。この実技試験と3分野の筆記試験に合格すると、一人前の職人(ゲツェレ)としての称号がもらえ、正規の従業員として企業で働くことができる。