先日、バーデンワインの産地の一つカイザーシュトゥール地域の段々畑のワイン畑を家族で散歩しました。
春先から初夏にかけては植物の成長期で、草は、ブドウの木と競合関係にあります。土壌中の限られた水分と栄養分を求めた競争です。ただし草は、マメ科など根粒菌の働きで空気中の窒素を土壌でアンモニア態に変換固定する「緑肥」としての役割や、草の根が土壌の構造と生物多様性を豊かにし、土壌を「活性化」させ、「虫や菌の害を抑制」し、土壌の「保水能力」を高める機能もあり、大切なパートナーでもあります。
草との付き合い方、草の扱い方で、ワイン農家の哲学やコンセプトや慣習が見て取れます。ちょっと歩いただけで、多種多様なやり方に出会い、たくさんカメラに収めました。
除草剤を使って全てもしくはぶどうの木の根元の部分だけ草を枯らしている畑(以前は一般的だったやり方)。耕して雑草を根こそぎ除去を全面もしくは木の根元だけやっている畑。一列置きに草を残している畑。草もマメ科や麦科を人工的に生やしている畑、もしくは自然の草をそのまま生やしている畑。
エコの考えをもった、もしくは認証を取っている農家は、除草剤は使わず、耕して根っこごと除去することもあまりせず、草の役割と機能を活かした形で、草との競合関係を、ブドウに有利なように地表面の部分的な草刈りをメインに「調整」しています。
ここ数年、農家は、春先から夏にかけて、雨が少なく水不足に悩んでいますが、草と「共に」土壌をしっかり作っているエコワイン農家で、水不足の被害が少なく、他の畑よりブドウが元気であることが観察されています