Withコロナから Beyond コロナの予感

コロナと「共に」の世界に生きて半年たちました。

当初はショックや動揺や不安があり、現在でもありますが、一方で、これまで変わらなかったものが変わる、すでに過去に始まっていた持続可能なムーブメントが加速される、新しいものが生まれる兆候を感じています。

例えば私の身近なところでは:

1)握手も抱擁も接近もしなくなりフィジカルディスタンスは大きくなりましたが、人と人との心の距離は接近し、人を思う暖かい配慮の心は拡大したと感じられる部分がたくさんあります。本来の意味でのソーシャルディスタンスは縮まりました。

2)アグレッシブで有名なドイツの人々の車の運転が、少しだけ穏やかになったような気がします。

3)1日平均人口の5分の1が日常的な森林浴(散歩や瞑想やスポーツ)をしていたところで(ドイツBW州の統計調査)、コロナ後は、その森林訪問人口が倍増しているようです。私の近所の森でも感じられますし、フライブルク市の森林官の実感では、以前の5倍や10倍という推定も。

4)ホームオフィスやフレキシブルな勤務、家庭と仕事の両立のムーブメントが加速。日本においても、一部の人たちの間で、それを推進する動きがあるようです。

5)地域の食材、安全でエコな食材、地域の生産者への市民の意識は高まっています。以前から人気や知名度があった地域の農家の直売店やエコ食品の加工業者は、需要に追いつけないようです。

6)フライデーフォーフューチャーによって高まっていた環境やエネルギー問題への意識も、衰えてはいない気がします(世論調査の結果を待ちます)。

7)ソフトな観光が加速。国内で、近くで、質の高い観光、保養を、今年はより多くの人々が求めています。シュヴァルツヴァルトの農家民宿や民泊アパートメントは、かなり埋まっている模様です。我が家の小さな民泊アパートも5月末に解禁以来、予約が立て続けに入り、9月末まで空きがほとんどない状況。

8)地域の電気屋さんや大工さん、窓屋さんや暖房水道設備屋さんなどの優秀な手工業の会社は、かえってコロナで仕事が増えたような感じです。「コロナのおかげでや静かになって時間ができた」とレストランやホテルの改装や模様替えを敢行しているシュヴァルツヴァルトの家族経営企業や中小企業など(これまで堅実な経営をして資金的余裕がある企業です)、地域の手工業の会社にたくさん依頼しているようです。私の家の小さな仕事には、窓屋さんや電気屋さんは忙しくてなかなか来てくれません。

9)日曜大工、ガーデニングがますます増えています。ホームセンターの売り上げは増えているはず(統計資料が出たら確認したい)。ただし、怪我や事故に注意!ドイツでは、交通事故の何倍もの死傷者が日曜大工で出ています。

もちろん、他方では、メディアで取り上げられているような、深刻な社会経済問題があり、苦しみ、絶望している人たちがいます。でも私は、あまり強調されない、メディアで取り上げられない、身近なポジティブなこと、個々人の心の変化を伝えたいと思います。未来は、視野の狭い左脳偏重の専門家が「予測」したものが前方から襲ってくるものではなく、一人一人の意識と行動が作っていくものだからです。歴史はそうやって作られてきています。

私自身は、これまでフィジカルコンタクト(お客さんと対面してのコミュニケーション)を主体にドイツで日本で仕事をしてきましたので、今回のコロナは大きな変化です。でも、コロナが与えてくれた時間と心の自由を、今までやりたくてやれなかったことを実行することに使って有意義に過ごしています。正直経済的な不安はありますが、何か新しいことが生まれそうな、起こりそうな予感がしています。

投稿者: Noriaki Ikeda

日独森林環境コンサルタント 南西ドイツを拠点に、地域創生に関わる様々なテーマで、日独の「架け橋」として仕事をしています。 ・ドイツ視察セミナー ・日独プロジェクトサポート ・日独異文化マネージメントトレーニング

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