日本の森林にはとりわけ女性的な感性が必要

5月半ばより、ドイツのホームオフィスから日本の方々に向けて、オンラインセミナーを開催しています。初めての試み。自分のMacBookから、カメラ撮影、パワポ、ビデオを、地球の裏側にいる数十人の方々に個別に同時に送り、ライブでディスカッションするなど、10年前は考えられなかったことです。

セミナーのメインテーマは私の専門の森林業。

やってみて1週間、一番の収穫は、女性の参加者が半数近くいらっしゃることです。これまでのドイツでの視察セミナーや日本での講演会やワークショップでは、男性が8割から9割でした。オンラインなので、端末とネット回線さえあればどこからでも受講できるので、仕事や育児や家事の合間に、たくさんの専門でない女性の方々に参加いただいていること、とても嬉しく思います。

森林は地球上で人間の2000倍も長く存続している複合的な生命共同体であり、人間に生活の糧や活力や感動、インスピレーションを与えてくれます。そんな偉大で多面的なものだから、それを扱う人間には、最大限の配慮と繊細な感覚、多方面への気配りが要求されます。これらは女性的な感性です。

森林大国日本の森林は、湿潤な気候と豊穣な土壌に恵まれた環境にあります。一方で、複雑で急峻な地形と地質、繊細な土壌は、日本を頻繁に襲う嵐や大雨や人間による謝った開発行為で崩れやすく、だからこそ、森林が何千万年に渡る進化の過程のなかで構築してきた「複合的な多様性」による「強さ」を維持、創出していくことが森林にたずさわる全ての人に求められます。日本がもつ森林という世界の人々が羨むかけがえのない資産、「豊穣」であると同時に「壊れやすい」宝物を、未来に引き継いでいくには、より女性的な感性が必要です。

投稿者: Noriaki Ikeda

日独森林環境コンサルタント 南西ドイツを拠点に、地域創生に関わる様々なテーマで、日独の「架け橋」として仕事をしています。 ・ドイツ視察セミナー ・日独プロジェクトサポート ・日独異文化マネージメントトレーニング

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