19世紀初頭に、ドイツ森林学のパイオニアの1人、ヴィルヘルム・ファイルという偉人が、生徒たち(森林官の卵)に次のようなことを言っています:
「木にどう育てられたいか聞きなさい。本を読むよりよっぽどいいことをお前たちに教えてくれるはず」
「すべての理論はグレー、森と経験だけがグリーン」
プロイセンのエーバースバルデ林業大学の初代学長を務めたファイル氏は根っからの実践家、現場の人間でした。トウヒやマツなど成長のいい樹種を一斉に植えて土地から最大収益を得る視野の狭い畑作的林業の風潮が強まっていたなか、土地に合った樹種を育てること、机上の理論より現場の観察や経験がより大事であること、林業経営という狭い視野から脱して森林の国民経済と社会生活への寄与を考える必要があること、などを訴え教え、現在の「多機能森林業」の基礎の一つを築いた人です。
私も現場が好きで、普段はドイツや日本でのワークショップやセミナーでも、できるだけ参加者が森林を五感で体験できるようにオーガナイズしています。
しかし今年のコロナ情勢、それができませんので、春からオンラインセミナーを始めました。5/6月に第一走を好評にて終え、7月19日から第二走を開始します(8月半ばまで)。
緑いっぱいの生命の力が溢れた夏の森林での生の体験は提供できませんが、オンラインにて、その息吹を、包容力を、森林に携わる人たちのスピリットをお伝えできればと思っております。